4Pとは?基本的なマーケティング分析方法についてご紹介
- SAKURA NAKAMURA
- 2024年10月4日
- 読了時間: 18分
更新日:2024年10月23日
「マーケティング」という言葉には色々なイメージがついています。
「どこに売ればいいかのプロモーション戦略でしょ」という人もいれば、「まじめに勉強するとワケわからなくなりそうな難しい話」と思う人もいるようです。
今回は、「マーケティングミックス」といわれる基本的なマーケティング分析の方法について説明します。
目 次
マーケティングとは
そもそも私たちが、モノやサービスを売ってビジネスにするためには、「何がどこでどれぐらい売れるのか」ということから目を逸らすわけにはいきません。
では、どこで誰に何をどれぐらい売るか。
「それが分かれば苦労しないよ…」という声が聞こえてきますね。
私たちも会社から出れば急に「買う人=消費者」になります。
だから、消費者の気持ちが分からないわけがない、買いたいものが分からないわけがないのです。
ただそれを、整理して説明する方法を知らないだけ。
そこに光を当てるのが「マーケティング」という領域になります。
売る場所(市場=マーケット)をどのように理解して、何を売るかが「マーケティング」です。
その習得のために、難しい本を手にする必要はありません。
ほんの少し、考え方を整理するだけです。
この記事を読むと、それが分かってくると思います。
マーケティングミックスの「4P」
01 4Pとは?
960年代にマーケティング学者のエドモント・ジェローム・マッケンシーによって提唱された、企業にとって商品やサービスを販売するための要素を組み合わせたもの(=ミックスしたもの)が「マーケティングミックスの4P」といわれるものです。
マーケティングミックスの「4P」
Product | 製品 | どんな商品・サービスを売るのか ⇒売るためのライバルとの差別化をどのように作るか/コンセプトをどこに設定するか |
Price | 価格 | いくらで売るのか ⇒安く売るばかりが人気ではない…「高級品志向」という言葉もある |
Place | 物流 | どのような手段で販売するのか ⇒店舗、ネット、通販…手軽さばかりが大事なら、iPhoneの発売日になぜ長蛇の列ができるのだろう |
Promotion | 販売促進 | どのように魅力を伝えるか ⇒商品の存在や魅力を伝える方法やキャンペーンをどのように行うか |
02 4Pというフレームワーク
自分たちの売っている商品の特徴を、この4項目になぞらえて説明してみてください。
こういうとき、「マイナスな側面は書きたくない」という気持ちが働きがちですが、分析は常に非情に行う必要があります。
自分のノートの中でだけ、率直に書き出してみましょう。
Product 商品やサービスはありきたりな消耗品だから
Price せめて安くなければ人気が出ない。
Place 類似商品より手軽に買えたほうが早い者勝ちでシェアをとれる。
↓ つまり「薄利」と「短期決戦」・そこを勝ち抜くには…
Promotion とにかく認知度を上げるようにSNSでの宣伝を繰り返していくしかない
これも一つの戦略ですが、長期的にも収益を上げられるビジネスモデルかというと厳しい感じもあります。
でも成功する例があります。例えば「100円ショップ」
Productが日常生活の中で反復的に使われる消耗品が主体だと考えると分かりやすいかもしれません。
このように整理してみると、別の考え方もできてきます。
例えば「Place:より多くの店舗展開によって、販売網を“面”で抑える」ということで
「Promotion:広告費は極力かけず、視界に入る店舗の看板を増やして認知度を上げる」という戦略も成立します。
地域密着型のスーパーマーケットはこういう店舗戦略が多いですよね。
03 4Pをさらに細かく分析する
このように、状況を整理するための考え方の流れを「フレームワーク(枠組み)」といいます。
では、より深くフレームワークを作れるように、4Pそれぞれの内容を細分化していきましょう。
Product 製品 | ・自社製品の特長や機能は何か ・ 競合する商品とはどこが違うか/どこで差別化を図るか ・ 自社製品にお客さまからの信頼や満足度(ブランド力)はあるか ・ 販売したあとのサポート体制は整っているか |
Price 価格 | ・売価と原価の関係は適正か/高級感を出す一方で高すぎないか ・ 販売にあたって不必要な手数料は発生していないか ・ 他社製品と比べたときの機能性、ネームバリュー等と比べ、適正な価格帯にあるか |
Place 物流 | ・店舗販売、オンライン販売、ネット通販、訪問販売、オーダーメイド…それぞれの販売方法について適否を検討しているか ・全国展開するか地域特化するか/限定販売するか恒常販売するか ・代理店契約、直販店、出張販売それぞれの体制における利益率は適正か ・以上を踏まえたうえでの販売網は、範囲、手法とも適正か |
Promotion 販売促進 | ・広告(紙・電子)、媒体(新聞、雑誌、CM)、人的効果(口コミ、HPレビュー)、デジタルマーケティング(SNS、ブログ等)それぞれの利点・欠点の中で最適な表示をしているか ・広告費用は経費として妥当な水準か ・割引クーポンやキャンペーンにおける促進効果は適切か |
04 4Pでペルソナ分析
「ペルソナ」とは哲学用語で「人格」のことですが、マーケティングのうえでは「主となる顧客像」を指します。
まず、あなたの商品を売る場所に一番よくいるタイプの人、あるいは、あなたがその商品を売りたい人を想定してください。
実際に見かけるお客さまの顔を思い浮かべながら書き足していくと楽しいと思います。
名前 | 山田 花子(37) |
家族構成 | 夫(40)、息子(小4)、娘(年長) |
職業 | 会社員・事務 |
収入 | 夫 年収700万円 花子 年収450万円 家計は一つの口座に集め、生活費は花子が管理 夫は緩めのお小遣い |
趣味 | ヨガ、フィットネス:それぞれ平日夜/週1回 ママ友と食事会:土曜日ランチ2,000円/月1回 |
では、この人にはどのような商品が似合うでしょうか。
ペルソナ×4P
Product | ・子どもがまだ甘えたい年ごろなので、家での自由な時間は少ない→家事や身の回りで時短になるもの、便利になるもの ・一方でママ友ランチに備えて、ちょっと生活感からは離れたワンポイントおしゃれグッズも必要 |
Price | ・家計は花子自身でやりくりは可能ながら、子どもの教育資金や将来への貯蓄を考えると、高級品は向かない ・アクセサリーならXX円前後、化粧品ならYY円前後が一般的 |
Place | ・ヨガやランチなど外での活動には抵抗がないので、ネット通販に拘らなくてもよさそう ・子どものことを考えると家を長時間空けることは少ないので、徒歩10分以内あるいは日常的に行く駅前などに販売ポイントを作りたい |
Promotion | ・事務職のため、勤務時間は安定しているものと思われる=休憩時間も取れるので、休憩室にありがちな雑誌やSNSのリール広告等で認知を上げることが可能 |
このように、現実的な要素を積み重ねていくことで、だんだん「どういう商品なら花子さんが買ってくれるか」というイメージが作れてくると思います。
これに、現在の自社製品を並べてみて、どこに欠点があるかを見つける……これが、「マーケティング」といわれる考え方です。
「4P」に対する「4C」
01 4Cとは?
4Pの対極として4Cという概念があります。
Customer Value | 顧客価値 | お客さまのニーズに合致し、価値があると認められているか |
Cost | コスト | お客さまにとって妥当な価値があるか 入手するのにかかる時間も適切か |
Convenience | 利便性 | 必要な時にすぐに手に入るようになっているか |
Communication | コミュニケーション | お客さまのご意見も踏まえ、納得できる売買を成立させられているか |
営業職の人であれば、どれも定期的に上司から言われている単語でしょう。
そこがポイントです。
02 4Pと4Cの関係
4Pがお客さま目線であるのに対し、4Cは企業目線の評価になります。
対比してみるとこういうことになります。
お客さま目線4P | 企業目線 4C | ポイント |
Product 製品 | Customer Value 顧客価値 | ・自社商品の強みをどこまで理解しているか ・それがお客さまにどう評価されているか正確に捉えているか ・製品としての寿命(ライフサイクル)や保証が見合っているか →レビューサイトなど外部の視点を活用 |
Price 価格 | Cost コスト | ・設定した価格に対しお客さまが納得しているか ・ブランド価値を反映させた売価か、コストをより抑えた手法はないか ・割引やキャンペーンなどの弾力性はあるか →販売戦略の根幹でもあり、経営陣も踏まえた価格設定を行う |
Place 流通 | Convenience 利便性 | ・品揃え、納期、決済方法も含めて改良の余地はないか ・さらに版図を拡大する方法はないか ・在庫管理は充分か ・販売チャネルの数や管理体制は整っているか →最終的にお客さまの手許に届かなければ意味がない |
Promotion 販売促進 | Communication コミュニケーション | ・お客さまの知りたい情報を提供できているか ・SEO対策等での拡散は図れているか ・人的販売の手当ては充分か ・質問に対する対策をとり、不満や疑問を放置していないか →SNSやホームページ上の相談窓口の動向を確認しながら、訴求するべき相手を見定める |
03 企業の利益とお客さまのニーズと
ここまでくるとだいぶ「マーケティングミックス」の考え方が分かってきたかと思います。
「4P」+「4C」=「8つの要素」を掛け合わせて、より良いスムーズなビジネスモデルを作り上げるのが、マーケティングミックスです。
一方で、「今期は商品Aを目玉で売り出す!他の商品はいっそ売らなくてもいい。商品Aの販売実績でボーナスを決める!」という話も、残念ながら少なくありません。
「買いたくもない人に売らなきゃいけないなんて…」と嘆く前に、ダメモトでもマーケティングミックスに当てはめて、商品Aの良いところ、商品Aを買いそうなペルソナを探してみましょう。
よほど商品Aがひどいものでない限りは、活路が見えてくると思います。
Price/Costは営業職の立場だとなかなか動かしにくいところもありますが、Productの長所を引き出しCustomer Valueに特化したPromotionの提言や、販売手法Placeのシェアを変えることでの効率化、Communicationでの口コミの活用、Convenientの訴求と、工夫する余地はいくつかあります。
企業の利益もありますが、そことお客さまのニーズとを組み合わせるのもマーケティングの醍醐味です。
新しいマーケティングミックスへ
01 マーケティング戦略の考え方
マーケティングを理解する上での要素を組み合わせたものをマーケティングミックスという、ということでここまで説明してきました。
しかし実は「4P×4C」は有形の製造物(Product)が主体だった時代の考え方であり、無形のサービスが主体である現代社会には必ずしも馴染まないのでは、という声があります。
もっとも、「マーケティング」という学問領域が進化した側面もあります。
では、もう一歩先のマーケティングミックスについて考えてみましょう。
マーケティング戦略の手順を踏まえて順番に説明していきます。
マーケティング戦略の考え方
①市場把握 | 3C分析(Customer市場・顧客、Competitor競合、Company自社) |
②戦略立案 | STP分析(セグメンテーション、ターゲティング・ポジショニング) |
③戦術の立案 | マーケティングミックス(7T・7P) |
02 市場の状況を整理する3C分析
自社の商品は「どこで」売られるものでしょうか。
その「市場(マーケット)」の状況を客観的に整理するのが「3C分析」といわれる手法です。
3C分析
Customer | 市場・顧客 | ・業界の市場規模 ・今後の成長性 ・お客さまのニーズや購買行動 |
Competitor | 競合 | ・類似の商品・サービスを扱う会社との比較(特徴、戦略、顧客、業界内順位など) ・市場におけるシェア ・まだ見ぬライバル(新規参入・代替品)の可能性 ・特に注意するべきライバルの動きと対策 |
Company | 自社 | ・企業理念・ビジョン ・自社製品の現状(売上、シェア、商品ラインナップ、戦略等) ・自社の他事業の状況や強み、弱み ・自社の持つ資産(従業員、設備、資金・投資) |
意外と見落とされがちなのが「競合」です。
「誰と張り合っているのか/勝ち目はどこにあるのか」
販売シェアを勝ち負けととらえる業種なら当たり前のことですが、サービスという無形の商品を扱っている業界では、自社の良いところを自信とすることに偏りがちなので注意しましょう。
03 市場という戦場での戦略を立てるSTP分析
競合企業と戦う場所。市場というより戦場ですね。
その分析と自分の立ち位置が把握できたら、つぎは「戦略」です(ちなみに、企業として進むべき方針を定めることを「戦略」といい、戦略を具体的に実行していくための手順や作戦を「戦術」「戦法」「作戦」といいます)。
戦略を立てるためにはSTP分析といわれる分析手法が使われます。
STP分析
Segmentation - セグメンテーション
お客さまやニーズといった要素によって市場を細分化(セグメント化)していくこと。商品・サービスに合った「市場」で「4つの軸」で細分化する。
【消費財市場】
消費を目的として個人や家庭で使用される商品・サービス
人口動態軸 | 年齢・性別・家族構成・職業など |
地理軸 | 地域・人口密度・住まい・文化・行動範囲など |
社会心理学軸 | ライフスタイル・価値観・パーソナリティ・購買動機など |
行動軸 | 購買活動・購買心理・購買契機など |
【生産財市場】
生産のために使用される商品・サービス
人口軸 | 業種・企業規模・地域など |
オペレーティング軸 | 使用頻度・使用量・顧客の能力など |
購買アプローチ軸 | 購買方針・購買意欲など |
状況要因軸 | 緊急性・受注量など |
Targeting - ターゲティング
セグメンテーションした市場で、自社商品の強みを生かせる場所、売りたい顧客層のいる場所を探す。
集中型 | ・自社商品を投入するべき市場を絞り込んで経営資源を投入する ・「高級品」枠や「ニッチ」枠などコアな購買層のつく商品向き |
差別型 | ・複数のセグメント市場で、それぞれのニーズに合った複数の商品を提供する ・同じ商品シリーズでも価格帯の違いや機能性の違いを出すことで、企業としての商品力を幅広い層に浸透させる |
無差別型 | ・セグメント市場に関わらず、複数の市場に対して同一商品を提供する ・購買層を幅広く設けるため、広い地域にまんべんなく供給できる資金力や、幅広くニーズの発生する生活品・食料品などに適する手法 |
Positioning - ポジショニング
ターゲティングした市場において、ライバル企業・商品との位置関係を決める手法。
一般的には「機能性」「価格帯」「年齢層」「品質」といった項目で縦横の軸を作り、商品を配置する方法(ポジショニングマップ)が使われる。
04 7つの戦術
戦略を実現するための戦術として「7T(7-tactics)」という分析が使われます。
ちなみに、今まで出てきた「P」とか「C」とかと違い、Tは要素の頭文字ではありません。
7つの戦術:7T
製品 | 物理的な製品の特性や品質 |
サービス | お客さまのニーズにむけて提供する商品・サービスの内容や特徴 |
ブランド | 他社との差別化や、商品そのものの価値を超える付加価値 |
価格 | 商品・サービスの価格(設定基準や戦略を含む) |
流通 | 商品・サービスの提供場所や方法 |
インセンティブ | 商品・サービスの価値を高めるための手法(クーポンやキャンペーンによる値下げ、特典品の提供など) |
コミュニケーション | 商品・サービスの価値をお客さまに伝えるための活動(広告、HP、SNSなど) |
05 振り返り
いろいろなPやCやTを通してきて、自社の商品・サービスの強みや弱みが見えてきたと思います。
ここで一度振り返ってみましょう。
それぞれの要素に書きだした内容に違和感はありませんか。
その整合性を埋めることが、自社の商品・サービスを「より良いものにする」「より売れるものにする」ポイントになります。
「そうはいってもここの改善にはお金がかかるからすぐには無理だね」ということも少なくありません。
しかし、ここまで分析できていれば、「そこを改善することで何人のお客さまに何個売れるか」の試算もたつと思います。あとは費用対効果を考えながら次の手段を考えることができるでしょう。
そして、一度作った分析資料は、定期的に見直すことも肝心です。
なぜなら、市場は常に変化するからです。
例えば、日本は長く現金主義が浸透しており、欧米のようにキャッシュレスが浸透することはあり得ない、といわれていました。
しかし、コロナにより劇的にキャッシュレス化が進んだのは記憶に新しいでしょう。
このような変化を踏まえて7Tを作り直すと、また新しい展開が見えてくるかもしれません。
これが、マーケティングミックスです。
06 4Pから発展した7P
顧客目線といわれた4Pも、さらに発展して今や「7P」といわれています。
追加された「3つのP」を見てみましょう。
マーケティングミックスの「7P」 ※既出のものはグレー
Product | 製品 | どんな商品・サービスを売るのか ⇒売るためのライバルとの差別化をどのように作るか/コンセプトをどこに設定するか |
Price | 価格 | いくらで売るのか ⇒安く売るばかりが人気ではない…「高級品志向」という言葉もある |
Place | 物流 | どのような手段で販売するのか ⇒店舗、ネット、通販…手軽さばかりが大事なら、iPhoneの発売日になぜ長蛇の列ができるのだろう |
Promotion | 販売促進 | どのように魅力を伝えるか ⇒商品の存在や魅力を伝える方法やキャンペーンをどのように行うか |
Person | 人 | 人、顧客、ほかの顧客の3者がサービスにかかわる。どんな人がサービスを提供すればいいのか、サービスを受ける顧客を深く理解し、検討する |
Process | プロセス | どのような方法でサービスを提供するのか。業務のプロセスや販売プロセスを検討する |
Physical Evidence | 物理的確信 | サービスが提供されたり、顧客と触れ合ったりする環境、およびサービスに付随するあらゆる有形物を検討する (フィジカル・エビデンスの例) 店舗:外観や内装の雰囲気 スポーツ:スタジアム、チケット、ユニフォームなど 生命保険:契約内容の確認レター |
07 最新のマーケティングミックス全体像
7つの戦術(7T)は、顧客目線である「4P」に対して、どのようにアプローチするかという観点で作られました。
4Pが7Pになることも踏まえれば、以下のような表に整理できます。
最新のマーケティングミックス対比表
4P→7P | 7T | 4C |
Product 製品 | 製品 サービス ブランド | Customer Value 顧客価値 |
Price 価格 | 価格 | Cost コスト |
Place 流通 | 流通 | Convenience 利便性 |
Promotion 販売促進 | インセンティブ コミュニケーション | Communication コミュニケーション |
Person 人 | - | |
Process プロセス | - | |
Physical Evidence 物理的確信 | -. |
これは筆者独自の考えながら、企業目線の「C」も7つにできるかもしれません。
「Person:人」⇔「Customer:顧客」
「Process:プロセス」⇔「Compliance:法令遵守」
「Physical Evidence:物理的確信」⇔「Concept:提供概念」
例えばお客さまが求めるPerson(人)は「従業員の質」を指します。一方で戦略・戦術的な顧客像もあれば招かざるハラスメントなカスタマーも現れる現在、「企業側のもつ顧客像」も明確にする必要がでてきています。
同じく、プロセスでの効率化も図りつつ法令は遵守しなければなりません。
何よりも物理的な見栄え(バエ)も大事ですが、提供したいコンセプトがブレると企業イメージ自体に影響が出ます。
マーケティングミックスの活用方法
ここまでマーケティングミックスについて説明してきました。
言葉の定義も多いので「難しい」と思うかもしれませんし、「でもこれをやれば商品・サービスが良くなる」と考えて腕まくりをする方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、言葉通りの整理をするだけでは分析にはなりません。
これらをどのように活用するか。そのポイントについて説明します。
01 マーケッターの仕事とは
今まで「市場(マーケット)に立ち向かう方策」としてマーケティングを説明してきました。
ここまで読んでいただいた方はご理解いただけると思いますが、マーケティングとは商品・サービスの存在意義(コンセプト)を中心として、製造コストや販売ルートも含めた考えになります。
一方、マーケッターが製造原価や販売ルートについて提言すると煙たがれるというのもよく聞きます。誰しも、自分たちが熱意を持って取り組んでいる業務には、軽く口出しされたくはないという気持ちもあるでしょう。
だからこそ、マーケッターは分析を重視するのです。
自社商品を数値的に、論理的に分解し、「何を改善するとどこが向上するのか」を語ることこそがマーケッターの仕事です。
02 企業戦略・企業イメージに合っているか
冒頭でも述べたように、「どこで誰に何をどれぐらい売るか」というビジネスモデルから目を逸らしてはいけません。
それと相乗的な位置にいるのが企業イメージです。
企業イメージのいい会社の商品は、売れます。一方、企業イメージが良くても売り方が悪いと批判されます。
マーケティングミックスはあくまで戦略と戦術のための要素分解と構築の手法です。
根源には、企業としてのイメージや、業界内で狙っていきたいポジションへの戦略があるはずです。
それを大前提としたうえで各要素を見直すことを忘れないようにしましょう。
03 「不都合」を無視せず自社商品を完全に解体する
販売戦略として事業計画を立てるには、経営陣の前で自社商品の分析を披露することもあります。
その時に「不都合な真実」をごまかしてしまうと、誤った結論に繋がります。
例えば、現場の理解が足りない層が、売行きが悪いことを営業員の力不足のせいだとし、過大なノルマ化に舵を切る、というのは、よく聞く話です。
大事なのは、一切の見落としもなく全てを詳らかにすることです。
そこで出てきた改善点に資源を投下させることで、より商品・サービスが良くなり、社会が豊かになります。
まとめ
世の中に良い商品・サービスを売り出していくためには、「どういう市場において、どのような商品を誰に対してどのように売り、どれほどの利益を上げるか」ということを考えていく必要があります。
それを考えるために、販売に関する要素を分解し、戦略・戦術を組み立てようとする考え方の枠組み(フレームワーク)をマーケティングミックスといいます。
4P(Product、Price、Place、Promotion)+3P(Person、Process、Physical Evidence)を4C(Customer Value、Cost、Convenient、Communication)と対比しつつ、
3C(Customer、Competitor、Company)による市場分析やSTP(Segmentation、Targeting、Positioning)を踏まえた7つの戦略(製品、サービス、ブランド、価格、流通、インセンティブ、コミュニケーション)を立てていくことで、
より効率的に自社商品・サービスを世に広めていくとともに社会全体を良くしていく。
自社商品・サービスに違和感を抱いたり、あるいは現場の営業員として行き詰まりを感じたりしたときは、コーヒー片手にリラックスした気分で、このフレームワークをやってみてください。
意外な気づきが、あなたのビジネスを開花させるかもしれません。
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